令和6年6月、国土交通省から「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」改訂版が公表されました。今回のガイドラインには、理事会廃止方式と外部管理者の管理者就任方式のリスクについて言及し、具体的な回避方法が提示されています。従来の外部管理者管理一辺倒からの方向転換は大変評価できますが、まだ問題点も多く残されています。簡単に私の見解を述べます。
1. 監視のための監視
外部管理者を監視するために、外部専門家の採用や監事の役割の強化、組合員で組織する「管理評議会」の設置などがいくつか提案されていますが、逆にコストが増え、結果的に更に組合員の負担やリスクが増えてしまいます。
2. 区分所有者間の繋がりの喪失
外部管理者方式を採用すると、区分所有者間の繋がりが薄れ、個人情報保護もあって問題が発生した際の連絡や集会が難しくなります。元の関係、元の管理組合に戻るのは困難です。
3. 長期的影響
外部管理者がマンションの特性や住民のニーズを理解していない場合、適切な管理が行われないリスクがあります。また、突然の外部管理者の交代や辞任・企業倒産のリスクも考慮する必要があります。
4. 住民の意識の変化
外部管理者方式を導入すると、住民が管理に対する関心を失い、コミュニティ意識が低下する恐れがあります。
5. 法的な問題
外部管理者が不適切な管理を行った場合、誰が責任を問うのかが不明確です。民法の双方代理の禁止に抵触する可能性もあります。
6. 外部管理者は赤の他人
外部管理者は所詮赤の他人であり、居住資産を任せるには不安が残ります。
7. 国土交通省のガイドラインと私の考え
国土交通省は今回の改訂版で、外部管理者方式のリスクを明示し、回避策を提示しました。しかし、私は資産の管理において他人任せはリスクが大きいと考え、慎重に検討するべきだと感じています。管理会社が推し進める第三者管理も同様のリスクが存在します。
建物の高経年化、住民の高齢化、役員のなり手不足などの問題に対処するためには、他所のマンションの話を聞いたり、マンション管理士などの専門家に相談することが重要です。破綻寸前のマンション管理組合に対する救済策として、外部管理者方式の採用は有効ですが、素人判断は避けるべきです。
管理組合が第三者管理方式を採用する動機のなかで”役員のなり手不足”が大きな要因であることがわかってきました。高経年のマンションでも、コミュニティ結束が強い管理組合から第三者管理を望む声は聞こえてきません。参加意識の高い組合員がそこに居るのです。まだやれる手段はあります。
外部管理者方式の採用はくれぐれも慎重にお考えください。
2024.10.9更新
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